今日の読み終わり

伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』
icon

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー



映画を2回も観て、そして原作を読む。「どんだけ本作が好きなんだ!」と言われそうなんだけど、別に好きなわけじゃなくて、映画を観て残ってたモヤモヤ感、スッキリしない感を解消したくて、図書館で予約、順番待ちしてやっとこさ読みました。


やっぱり原作を読むと、「ああ、なるほど」と思わされる。映画では「主人公がとにかく訳も分からないまま犯人にされて逃げまくる」ということに徹していて、「どうして逃げなきゃならんのか?」という部分が、チョロッと、ほんと醸し出されるぐらいにしか述べられていない。もしかしたら、その部分は聞き逃しちゃうぐらい。しかし原作では、本編の章に入る前に、物語から20年後(だったか?)に「あの事件はなんだったのか」を検証する章がある。真相自体は明らかにされないが、いくつかの推測が述べられているので、それを知ってから本編のお話に突入すると、「主人公が理不尽にも逃げなきゃいけないのか」という疑問よりも、「主人公が逃げなきゃいけない理不尽さ」が強調されて、物語全体がひとつにまとまる(ような気がする)。
映画は、なるべく原作に忠実にしたかったのかもしれないけど、まあ、上映時間とかテンポとか予算とかいろんな事情があるんだろう、原作とは異なったシチュエーションになってたり、原作では登場する人物が全く出てこないなど、いろいろ変わっている。変わっているというよりも、バッサリ切っちゃった、と言う方がいいかも。
そして何より一番重要な「街中に監視ポッドが設置されている」というシチュエーションに映画はなっていない。これは省いちゃいけないだろう。映画では携帯電話の盗聴か街中の監視カメラぐらいの「ザ・監視社会」だけど、原作ではこの「監視ポッド」による”あらゆるものが監視されている”という状況で、いかにその監視をくぐり抜けながら・・・というお話。主人公を追う警察がその監視情報に翻弄される場面もなきゃねぇ。


とにかく原作を読んでモヤモヤがスッキリしました。私としては、原作⇒映画の方向で楽しむことをおすすめします。